ハイキングブーツとハイキングパック
前のコラムで紹介したように、山を舞台としたゲームは概ね次のように分類される。
「ハイキング」「トレッキング」「マウンテニアリング」の3つだ。
実はこれらのゲームは独立していて、階層的な位置関係にはない。
つまり「ハイキング」よりも「トレッキング」が優位に立つというものではなく、別のゲームとして捉えられている。
だから「ハイキング」にじっくり取り組んで、そのゲームの熟練者になるのも良い。
階層的ではないとは言え、「マウンテニアリング」の基礎として「トレッキング」があり、山歩きの入門として「ハイキング」があることは事実だ。
またそれぞれのゲームは行動時間や地形的特徴、それに伴う技術に基づいて分類されているので、固有の装備群を持っている。
特にブーツとバックパックにはその特徴が顕著に現れている。そこで「ブーツ」と「バックパック」を中心に据えて、ゲームの違いを説明していこう。
まずは「ハイキング」
これは生活圏に近いエリアのほぼ整備されたトレイルを1〜4時間程度歩くゲームだ。
国によっては「ヒルウォーキング」と呼ばれることもある。
歩くのは整備されているが、舗装されていない歩道だ。
ハイキングの対象となるトレールは岩がゴロゴロ転がっていたり、踏み跡が不鮮明だったり、道幅が狭かったりすることはない。
例を挙げると、上高地〜明神〜徳沢園〜横尾、などだ。
また数時間程度の行動なので荷物も行動食や軽食と飲み物、予備のウエアやレインウエア、それにヘッドランプ、ファーストエイドキット程度となる。
ハイキングブーツとは
技術的には日常の歩き方と同じなのでブーツのアッパーはソフトでソール剛性も低くしなやかだ。
日常の歩き方とは、踵から着地して荷重する位置が足裏の外側を指先に向かって移動し、親指付近で押し出すように動く歩き方だ。
このような歩き方を行いやすくするためにハイキングブーツは踵部分が反り上がっていて、踵からの着地がしやすくなっている。
つま先部分も反り上がっていて、踵からつま先への荷重移動が行いやすい。
そしてアッパー(足を覆う部分)は柔らかく、足首も浅く広いので足の骨は自由に動く。
このブーツは重い荷物を背負っての長時間歩行や岩がゴロゴロしている箇所、岩稜や雪渓は想定していないので、そのような場所で使うと疲れやすいだけでなく、スリップや転倒、滑落の要因にもなりかねない。
ゲームのカテゴリーとそれに合ったブーツや装備を選ぶことはリスクを軽減するもっとも基本的な取り組みと言える。
イラスト
A:ブーツ後部の深さはやや浅く、足首が自由に動く
B:かかと部分にグルーブ(コバ)がない
C:反り上がっている
D:つま先部分も反り上がっている
E:アッパーは柔らかい
F:足首は広い
ハイキングパックとは
ハイキングパックは前述の荷物を入れて、整備されたトレイルを歩くためのものだ。
それほどの重量物を積載するわけではないので、背面はメッシュになっていて背中の通気性がよく、低山でも背中が汗で濡れることを軽減するような構造になっている。また生活圏に近いエリアでの行動を考慮して、小物収納が便利なようにポケットも充実している。
容量のバリエーションは20〜35L程度とやや小型だ。
イラスト
A:ショルダーハーネスはメッシュかソフトなパッド
B:バックパネルはメッシュパーツを多用またはメッシュパネル
C:ヒップベルトや本体側部にポケット
D:容量は20〜35L程度
実績のあるプロガイドが山の悩みに無料回答中。
安全に登山ができる仕組みを創り、より多くの人のライフスタイルの充実に貢献することを理念としています。是非、応援下さい。