山岳ガイドへの相談
初めまして。
登山翌日の頭痛に悩まされています。理由と予防策が知りたく、教えていただけますとうれしいです。
当日は快適に登山を終えるのですが、翌日朝から夕方ごろまで頭痛が続きます。
後頭部から目の奥がずきずきすると感じです。
標高1000を切る山から3000メートル級の山までどれも同じ症状、夏でも冬でも同じくです。
私自身は、登山歴は5年ほど。ハイキングから、1泊程度のテント泊アルプスまで行う中級者、やや痩せ型の29歳女性です。この症状はちょうど一年くらいでしょうか(登山頻度は月2)
日常生活では頭痛もちではありません。また、趣味のマラソンでは起こらないです。
考えられるのは、
・水分不足による脱水?
・日光?
・気圧?
でしょうか…インターネットを検索してもあまり見当たらず、理由と対策を教えていただけますとありがたいです。
医療の専門家ではないので、あくまでも私個人の経験に基づいてのアドバイスになるので、その点ご了承ください。
登山時の頭痛の原因ですが、高山病、風邪、片頭痛、緊張性頭痛(肩凝り・首凝り)、脱水症、その他脳の内科疾患が考えられます。
ただ、翌日のみに頭痛が起こることを考えると高山病や風邪、その他脳疾患は考えにくいです。
日光の影響があるとしたら、紫外線による目の疲れ、充血としての症状が出るように思います。
気圧の影響ですが、気圧の低い高所にいる時に症状が出るなら高山病を疑いますが、翌日であれば気圧の影響ではないと思います。
なのでまず、緊張性頭痛か脱水症の影響を疑ってみるのがいいかと思います。
●緊張性頭痛
緊張性頭痛は重たい荷物などで肩周りの筋肉に負荷がかかって血行が悪くなることで頭痛が起こります。
ただ、普段から肩凝り気味の方は、登山の影響で肩凝りが酷くなっても常に凝っているので自覚がない場合があります。
●脱水症
女性はトイレを気にして水分摂取が控えめになりがちなので、この可能性が一番高いように思います。
より詳しい事情を伺った上で、お答えしたいのでいくつか質問させて下さい。
1 登山時、登山後に手足が浮腫むことはありますか?
2 冷え症だったり、他の登山者より寒がりではありませんか?
3 下山後に毎回飲酒をされていますか?飲んでいるとしたらどの程度ですか?
4 直近の登山でいいので記憶を頼ってお答えください。
標高差何m、行程何時間のルートを歩いて、水分をどの程度(何ML)飲まれているでしょうか?
とても丁寧にありがとうございます!
なるほど…どちらも可能性としてはありそうです。また、目の痛みもあるので、サングラスは一度試してみようと思います。
質問ですが、
1. 手足のむくみ
ほとんどありません。
2.冷え性
はい、かなり冷え性です。ぶ厚めの靴下を履いています。
3.飲酒
ほぼ飲みません。飲んだとしても、ビールをグラスに一杯わけてもらう程度でしょうか。
4.直近の登山
鍋割山 3/20 標高差 1100m往復5.5h
水は 1.3ℓ持っていき、0.8ℓほど飲んでいたかと思います。
目の痛みもあるということなので、スポーツタイプのサングラスをすれば紫外線の刺激はある程度防げると思います。
サングラスをしても目が痛くなるようであれば、疲労や肩凝りに由来していると考えた方がいいかと思います。
1 手足の浮腫みは脱水の症状の一つです。そのため水分補給が少ないことが主因ではなさそうです。
2 医師ではないので、冷え症の原因を断定できないですが、代謝が低く基礎体温が低いことが翌日の頭痛に影響しているのではないかと思います。(詳細は後述)
3 下山後に飲酒量が多すぎると、体に負担をかけて筋肉痛や疲労が残りやすくなる場合があります。適量なら問題ないです。
4 登山時の水分目安量として鹿屋体育大学の山本先生考案の以下の数式を使って下さい。
体重+荷重(50kg) × 行動時間(5.5H) × 5(ml) = 1375ml
ここでは仮に計算がしやすいので、50kgとしました。
実際に飲まれたのは800mlということですが、冬場は寒くて水分補給がしにくくなるので目安の6割程度飲めていれば、それほど問題はないと思います。
ただし、計算よりも足りなかった分(575ml)を下山後のなるべく早い段階で補給するのが理想的です。
●まとめ
浮腫みがないということですので、脱水の影響は少ないのではないかと思いますが、出来る限り目安量の水分補給を行えるように心がけてみて下さい。
夏山でも行動する時間が長いと、目安量を補給できないことがありますので、山小屋に到着してから、下山してから足りなかった分を早く補うといいでしょう。
今回お話を伺った範囲では、前述した「基礎体温と代謝が低い」ことが最も影響しているのではと思います。
登山時は運動量に応じて、体内に疲労物質が蓄積しますのでこれを排泄していかなければなりません。
まず、末端冷え症だったり、基礎体温が低いと、登山中に寒さを感じている間は常に毛細血管が収縮した状態になり、血流が悪くなることで疲労物質の排出に時間がかかります。
また、代謝の低さは基礎体温の低さと連動していると考えていいと思います。
代謝が低い為、疲労物質の排出に時間がかかります。
子どもは基礎体温が高く代謝も高いために、運動して疲れても一晩寝るとケロッと回復するのです。
推測ですが、翌日も血液中に疲労物質が溜まっていることによって、もっとも筋肉が凝っている部分の血流が悪くなって頭痛として症状があらわれているのではないでしょうか?
登山時の肩凝り対処法としては
1 体に合ったザックを背負い、肩への負担を軽減する
2 肩周りの筋肉に負担をかけないよう、前傾姿勢にならないよう姿勢良く歩く
3 登山中、下山後に肩、背中、首まわりのストレッチを行う
登山時の血流対策としては
1 寒い時は休憩時間を短くする、休憩時に上着を羽織る、防寒対策を行う
2 汗冷えを防ぐため、発汗量を少なく出来るように、ウェアを調整する
3 下山後は出来るだけ早いタイミングで、入浴する、乾いた衣服・靴下に替える、暖かい飲み物、食べ物で体を暖める。
また基礎体温を上げる、代謝を高める、血行を良くするポイントとしては
1 筋力トレーニングで筋力UPをする
2 薄着をする、裸足になる時間をつくる、入浴後に冷たいシャワーを手足にかける、など寒さ刺激に体を慣らす
3 ストレッチやヨガなどで体を柔軟にする。凝り固まった筋肉があると血流が悪いままです。
4 登山をしない週など、ジョギングなど有酸素運動をする(心肺機能を高めることで血流を改善する)
もしかしたら、当てはまらない部分もあるかもしれませんが思いつくまま書きました。
これ以上のアドバイスは実際にお会いしたことがないので難しいです。
おそらく登山翌日の頭痛を改善するだけじゃなく、健康を維持していく上でも重要な知識になると思います。
楽しい登山を続けていくために、参考にしてみてください。
ありがとうございます!
とても丁寧に詳しくお伝え頂いて、感動しました…!
頂いてアドバイス、ためしてみたいと思います。
本当にありがとうございました!