山岳ガイドへの相談
漠然とした疑問でスミマセン。熊避け対策についての質問です。ガイドさん達が実践してる一般的ではない対策って何かありますか?熊は知能が高いので鈴が逆効果な場合もあると聞いて、これからの季節は特に不安に感じています。
白神の後藤です。
「一般的ではない」というと専門的な対策の回答を期待されるのかもしれませんが、巡視で山へ入る時でも特に専門的な対策はしていません。
逆にガイド中は、熊鈴はうるさいのでお客様が付けていてもしまっていただいています。
一般論ですが、熊に人間の存在を知らせることで互いの距離を保ち、可能な限り不意の接触を避けることが初期段階での有効な方策と言われていますので、そこに留意するべきかと思います。
そのため、私の場合は以下のような対策を講じています。
〇熊出没の可能性のある登山道でのガイド中:ガイドトークやお客様との会話(音)
〇巡視や山菜取り:熊鈴(音)と携帯蚊取り線香(匂い・ヤブ蚊にも多少は有効)
〇いざという時のために:熊撃退スプレーの携行
熊は視覚は劣るが聴覚と特に嗅覚は非常に優れている動物ですので、自然界に存在しない音や忌み嫌う匂いは接触を避けるのに有効と言われています。
昨年は秋田県でツキノワグマが4人の人を殺害したというショッキングな事件がありました。
これはかなり特殊な例とされていますが、安心安全を高めるために、ガイド山行時も熊の密度が高そうな山へ入る時は、ザックのウェストベルトに熊スプレーを付けるようにしていました。
山菜取りの人たちは、ラジオを鳴らしっぱなしにしていたり、周波数の高い音が出る小さな装置で音を出し続けたりしている例も多くあります。
まだまだたくさん書きたいのですが、そうすると一冊の本になってしまいそうですので、興味がありましたら、先月の新刊「熊が人を襲うとき」などで熊の生態や習性、対策などを知っておくこともおすすめします。
上記は本州のツキノワグマに対する対策で、北海道の山へ行くときはヒグマの習性に見合った対策や行動を心がけています。
「一般的ではない対策」でなくて不十分な回答かもしれませんが、要は「不意な出会いを防ぐ」、「子熊を見たら要注意」、「餌を認識させない」といったことに留意しています。
私の場合でも白神山地等で「熊を見る(出会うのではなく)」機会は、年に1~2度程度なので、確率的には非常に低いことを申し添えます。
熊をはじめ、スズメバチ、ヤマカガシやマムシ、ブヨやアブ、ツタウルシなど、人間にとっての危険や不快な生物の存在やそれらの習性を知ることがまず一番の対策になるかと思いますので、気象や地形とともに安全登山のために相手をよく理解する努力をして安心安全登山を楽しんでください。
ありがとうございました。なるほど、音だけでなく臭いで逃げて貰う方法も効きそうですね。虫除けスプレーや熊スプレーを早速携行してみます。一般的ではない方法と変な質問してスミマセン。耳の病気で周波数の高い音が苦手だったので、今まで空のペットボトルの蓋を外して叩いたり、最期の手段としてテープが飛び散らないタイプの、パーティー用のクラッカーを携行してました(笑)これからの季節の防虫対策にもなりそうなので、早速購入して実践してみますね。