山岳ガイドへの相談
相談者
永崎はるな@Auto Followbac
さん
熊に死んだフリは有効なのでしょうか?
熊は視力そのものは低ですが動体視力は高いという話も聞きます。なので人間が動かなければ木と人の区別がつかず襲われないそうです。
実際、マタギにはそれを利用した木化けという技があるそうです。
このような観点から死んだフリ(停止して動かない状態)は有効だと思った次第ですがどうでしょうか。
初めにお断りさせていただきますが、あくまで私個人(動物の専門家ではない)の経験に基づく回答となる点、ご理解下さい。
昔、アメリカの某国立公園内で野宿した事があります。グリズリーがよく出ることで有名な場所でした。
諸事情によりテントを使わず、ある建物の軒下にあったベンチの上で、寝袋にくるまって寝ていました。
夜中に何かの気配を感じ、体を起こして周りの暗闇に目を凝らすと、グリズリーと目が合い、直後にグリズリーは逃げて行きました。
寝ている状態≒死んだフリとした場合、必ずしも関心を示さない訳ではないようです。
私は寡聞にしてマタギの技は存じ上げませんが、熊の気を引く匂いがあるかどうかも関係しているように思います。
実際、ヨセミテ国立公園ではテント泊の際に、食糧はもちろん、歯みがき粉も熊の好物なのでテント内に置かないように指導しています。
グリズリーとツキノワグマ、そして北海道のヒグマも、それぞれ習性が違うなんて話も聞きますが、定かではありません。
何れにしても、熊に遭遇した時は死んだフリをするよりも、セオリー通りに何か気を引く物を置いてその隙に立ち去る方が得策ではないでしょうか。
ご参考までに、登山中の野性動物での被害件数としては、熊よりスズメバチなどの方がずっと多いです。