山岳ガイドへの相談
人生で一度は富士山に登山したいと夢見てます。夏でも冬のように寒い?と聞いたのですが、夏でも雪は降りますか?どれほどの防寒着を備えれば良いでしょうか?
夏の富士山は仰る通り、ごく稀に雪がちらつくことや雹が降ったりすることがあります。
(添付写真は8月下旬の山頂に雪がうっすら積もっている様子です)
これは6月や9月の3000m級の山でも起こり得ることですが、7-8月の真夏でも降るというところが、日本一の標高であることを示しているとも言えます。
ただし、注意して頂きたいのは実際に雪や雹が降ることではないと思います。
雪だと衣服は濡れにくいですが、雨だと衣服が濡れやすい状況となります。
特に森林限界を超えて、風が遮られることがない環境では、体が濡れた状態で風に当たっていると急激に体温を奪われていきます。
2009年7月のトムラウシ山の大量遭難がそうでしたが、雨と強風にさらされると手足が濡れただけでも、短時間で一気に低体温症が進行します。
晴天であっても、標高の高い山では登っているうちに雲の中に入り、湿度100%の中で歩いていると気付いたら全身が濡れているということもよくあることです。
夏の富士山の山頂付近は5-10℃程度のことが多いですが、このような雪が降らない程度の気温であっても風雨対策を十分に考慮する必要があるでしょう。
【装備と服装について】
靴とレインジャケット、レインパンツ、手袋の4点は完全防水のものが必要です。
ただし、レインウェアを着込んでいても、汗で衣服が濡れたり、雨が袖口や襟元から侵入してきたりして、中に着ているウェアが濡れてしまうことがあります。
そのため、下着やシャツ、靴下など着用する全ての衣服は速乾性と保温性のある素材のものが必要です。
また、富士山の山小屋は乾燥室がないため、宿泊しても衣服を乾かすことが出来ません。
そのため、下着とTシャツ、靴下程度は着替えを用意するのが理想的です。
防寒着については頂上ご来光をするか、しないかで変わってきますが、標高が高い場所では一般的に長袖シャツ、ロングタイツの上に、フリースとズボン、さらに寒ければレインウェアを着用します。
さらに休憩時やご来光を待つ時にさらに寒いので、軽量で携帯性に優れたダウンジャケットを着用するのがいいでしょう。
どの程度の保温力のある防寒着を用意するかは、登山する方の耐寒能力によっても左右されてきます。
また、5合目付近で着込み過ぎ状態で歩いて、汗をかき過ぎている方も見受けられます。
寒暖差に対応するためには、着用するウェアをどう組み合わせて、適度な状態に調整することです。
これらを踏まえて、ウェアの組み合わせを考えた上で、ウェアをご用意されるといいと思います。
富士山は甘くないということが素人ながら理解できました。
漠然と富士登山に一度は挑戦したいと思ってましたが、
低体温症など聞いたことないワードもあり、寒暖差だけではないのですね。
登山装備も恥ずかしながらジャージ、ランニングシューズといったものでしたので見直す機会になりました。
登山初心者にも丁寧に回答頂きありがとうございます。