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山岳ガイドへの相談

解決済み

棉Tシャツは登山不向きですか?

相談者 Shingo Sakurai さん

今月始めての登山で富士山に行きました。
装備は、市販の棉Tシャツと、コンビニで購入したカッパで富士登山に挑みました。

終始曇り空で、雨は降らなかったものの風が強く、汗で濡れっぱなしで冷えてしまい、その上からカッパを着ましたが、風は防げたものの汗冷えは防げず。
頂上は目指さず急いで下山しました。登山に適した服装などがあるのでしょうか?

ウエアが濡れた状態だとあっという間に体温を奪われてしまいます。
これは熱伝導率の影響です。
水(液体)と空気(気体)では熱伝導率はおよそ25倍違います。
濡れているとあっという間に冷えるのはこのためです。
そこで登山では、濡れても平気なようにウエアを重ね着して濡れに備えます。
これを「レイヤリング(層を重ねたウエア構成)」と呼びます。

じつはここがポイントで、
よく
「濡れないように」とか
「汗をかかないように」と言われますが、
その表現は正しくありません。

人間はじっとしていても水蒸気に覆われていて、水蒸気をうまく外へ逃がさないと
内側のウエアが濡れていきます。さらに運動すれば汗をかきます。
登山のように運動強度が高いスポーツで「汗をかかないように」は無理がありすぎます。
ですから「濡れても平気なように」が適切な表現になります。

レイヤリングで注意することは次の通りです。
ーーーーーー
1:ベースレイヤー(肌の次の層)=汗と水蒸気を素早く吸い上げ、生地表面で蒸発させる
2:ミッドレイヤー(Tシャツなど)=ベースレイヤーから受け取った水蒸気を素早く吸い上げ、生地表面で蒸発させる
3:シェルレイヤー=水蒸気を外へ逃がし、風と雨を遮断する
ーーーーーー
さらに
ベースレイヤーは熱伝導率の低い繊維(ウール、ポリエステルなど)を使うことで
濡れても寒さを感じにくくする工夫が必要です。レーヨンやコットンは熱伝導率が高いので
濡れると寒さを感じやすく体温は奪われやすいので登山のウエアには適していません。
製品を選ぶときに、どんな繊維が使われているか確認するとよいでしょう。

シェルレイヤーは高いレベルでの透湿性、防風性、防水性が求められます。

ウエア選びは大切です。
選ぶときにも根拠に基づいた選び方が大切になります。
次回に登山にぜひ活かしてみてください。

解決 相談者 Shingo Sakurai さん

教えてくれる方が不在だったので、登山は奥が深いんだなと感じました。今後のウェア選びに生かします!!また教えて頂きたいです。
笹倉ガイドさまありがとうございました!

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