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山岳ガイドへの相談

解決済み

極寒時の登山では体内まで凍りますか?

相談者 ヤマト さん

テレビでエベレストや冬季高所登山をしている登山者が、
睫毛が凍ったり、口周りのヒゲが凍りついてる写真を見たことがあります。
日本の山でも、同様の写真を見たことがあります。

このような、極寒の場合は体外的な変化だけでなく
体内にも影響し、呼吸器官までもが凍りついたりしないのでしょうか?

高山や極地といった極寒の地でも、人や動物は凍らずに活動しています。
これは、体内で熱エネルギーを生産し続けていること、脂肪や衣類などで周囲の環境との断熱を行っていることで体内の温度を保っているから可能なことです。
体内の熱生産が低下したり、周囲に奪われる熱が増えると、体温が維持できなくなり、周囲の環境の温度に近づいて行きます。
この過程が低体温症の進行であり、やがて一線を越えると生命活動が維持できなくなって死に至ります。
低体温症で死亡するときの温度は一定ではありませんが、深部体温(身体の中心部や血液の温度)が32度よりも低くなると不整脈によって心臓が止まるリスクが高まりますし、さらに体温が下がるとやがて熱産生ができなくなって、体温維持ができなくなります。
心臓や呼吸が停止して、生命活動が止まってしまうと、身体の温度は外界の温度に近づき、やがてそれが氷点下であれば凍結していきます。
また、ここに至る前でも、身体の中心部の温度を保つために、身体の端々では血管が収縮し、血液のめぐりが悪くなって温度が下がり、組織が凍結することがあります。凍傷の一形態です。手足の指、耳、鼻などが凍傷の好発部位なのはこのような理由によります。
ご指摘のような呼吸器官について考えてみます。気管や肺は比較的身体の深い部分に存在しており、周囲には血管が豊富に巡っています。また、鼻や口から入る冷気は、空気の通り道を通過する過程で体温によって温められます。従って、気管や肺といった器官が早期に凍結することは、通常生じにくいでしょう。

解決 相談者 ヤマト さん

人間の体は改めてすごいなと感心させられました。
あ〜、なるほど〜。そういうことだったのかと、一つ一つ読みながら理解を深められました。
素人目の疑問に対し懇切丁寧に回答頂き感謝です。

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