山岳ガイドへの相談
寝袋選びで迷ってます。
対応温度や、羽毛や化繊などタイプが違う寝袋が多くありますが。
自分の登山にあった寝袋・シュラフの選び方はありますでしょうか?
寝袋選びでまず大切なことは、寝袋を使用する山域で想定される最低気温を把握することです。
例えば、7月〜9月の北アルプスで使用する場合は0℃前後に対応可能なモデルが良いでしょう。
店頭に並んでいる寝袋に付いているタグには、使用可能な温度表記を必ず記載してありますが
メーカーが行なっている寝袋の使用可能な温度域を導き出すテストには2種類の方法があります。
1、メーカーが独自の方法でテストを行っているもの。
2、ヨーロピアンノーム(EN13537)規格に基づくテストを実施しているもの。
最初に購入される寝袋はヨーロピアンノーム規格を採用しているモデルの中で比較検討されることをお勧めします。
ヨーロピアンノーム規格を採用している寝袋は、メーカーが違っても共通の方法でテストを行っているため
客観的に寝袋の使用可能な温度域を知ることが出来ます。
ヨーロピアンノーム規格を採用しているモデルはcomfort(快適温度)、limit(下限温度)、extreme( 極限温度)の3種類の温度表記が必ず記載されていますが、この中でcomfortかlimitの温度を参考にしましょう。寒さに慣れていない方はcomfort、寒さに強い方はlimitの温度で選んで下さい。
次に寝袋に使用されている保温材ですが、羽毛(ダウン)を使っているモデルや化学繊維を使っているモデルがあります。
化学繊維を使用している寝袋は一般的にコストパフォーマンスに優れており、ダウンを使用している寝袋は軽量で収納性に優れています。
どちらも優れた点があるので甲乙は付け難いのですが、ダウンについてよくある誤解が一つあります。かつて登山用品店で働いていた頃「ダウンの寝袋は雨で濡れると使えなくなりませんか?」とよく質問を受けていました。しかし、ダウンに使われているのは水鳥の羽毛です。水鳥の羽毛が水を弾くことを想像してもらうと分かると思いますが、本来ダウンは濡れには強い素材です。湿度の高い環境で使っていると、多少湿っぽくなることはあっても使用不能になる程ずぶ濡れになったことはありません。
しかしながら、ダウンを使用した寝袋であっても化学繊維を使用した寝袋であっても濡れる環境に長時間晒されていれば保温性は落ちますので、極力濡らさないようにするのが基本です。濡れた寝袋を使うことは不快なばかりでなく、体力を消耗する原因になります。バックパックにパッキングする時は防水性のあるスタッフサックに収納し、場合によっては寝袋カバーを併用して使いましょう。
選び方から特性、使用法まで懇切丁寧にアドバイス頂き感謝致します。
商品の寒さ耐性だけでなく、自分の寒さ耐性もありますね!とても参考になりました!この夏のテント泊に活かします。また悩んだ時相談させてください!