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山岳ガイドへの相談

解決済み

登山中の火傷の処置方法

相談者 モノボリ さん

先日、山で美味しい珈琲が飲みたいとガスバーナーでお湯を沸かしていた時のこと。
うっかり、熱されたコッヘルを右手親指で触り火傷してしまいました。

写真を載せてますが、水ぶくれができ、冷やしていないと数時間はジリジリと痛みが出ました。
とはいえ、冷やす道具が無かったため急いで下山。
こんな時に、どんな処置をするべきなのでしょうか?

●当日の対応
・近場に水場が無かったため、自分の飲料水の一部で患部を水洗い→飲料水を入れたコップに患部を入れ数分冷やした。
・帰宅後に軟膏を塗った。(ファーストエイドキットに軟膏を入れたほうがよかったのかな?と反省
・火傷の水ぶくれを破りたい衝動にかられているが我慢している。

以上、処置方法が合ってるかわからないのですがご教授頂けますと嬉しいです。

山での熱傷は、今回のように火器使用時に加え熱い液体による受傷など、登山者だけでなく山小屋従業員の方にとっても決して珍しい怪我ではありません。
まず、熱傷はその深さ(深達度といいます)によって大きく3つに分けられます。以下にそれぞれの熱傷を負った皮膚の変化や症状の特徴を簡単に記します。数字が大きいほど深い組織まで損傷された状態を示します。

Ⅰ度:一時的な発赤(皮膚が赤くなる)のみ。痛い。
Ⅱ度(正確にはさらに細かく浅達性/深達性に分けられます):水疱(水ぶくれ)を形成したり、それが剥がれたりする。多くの場合とても痛い。
Ⅲ度:皮膚が白っぽい、硬い、黒く焦げている。痛みを感じないことが多い。

いずれも受傷早期の対応としては「局所の冷却」を行います。熱によるダメージが少しでも深部に及ばぬよう、患部を可能な手段で冷却します。ただ、気温が低い時や熱傷面積が広い時には、低体温症を来たすことがありますので、注意を要します。
 Ⅰ度熱傷は通常特別な処置を行わずとも時間経過とともに軽快します。Ⅱ度熱傷は、比較的浅い部類であれば、洗浄と軟膏や被覆材による処置で、皮膚が再生されて治ります。Ⅱ度熱傷の比較的深いもの、Ⅲ度熱傷に関しては、短期間での皮膚の再生は期待できません。面積や部位にもよりますが、多くの場合植皮手術を要します。
 さて、今回ご質問いただいたケースは、水疱形成されているのでおそらくⅡ度熱傷です。範囲はごくわずかと判断できます。以下、行っていただいた処置に基づいて考えてみます。
「洗浄と水による冷却」はとても良い対応でしたね。もう少し長い時間冷やしておけば、その後の痛みが多少軽減されたかもしれません。水疱が破れていない状態であれば、「軟膏」は不要です。水疱が破れてしまった場合には、水疱部分の皮膚をハサミなどで切除し、内部を洗浄した後、被覆します。組織の乾燥や被覆物の固着を防ぐために、ワセリンなどの軟膏を塗っても構いません。市販されている非固着性の被覆材(非滅菌のもので結構です)をお持ちであれば、あえて軟膏を携行する意義は乏しいかと思います。
「水疱を破りたい」…これは多くの方が抱くであろう心情です。が、出来れば破らずに。むしろ破れにくいように保護してあげてください。登山中に時々できてしまう足や手の水疱もそうですが、うまく破れずに水疱を維持すると、水疱自体が細菌感染を防ぐバリアとして機能しつつ、患部の環境を上手に保ってくれますので、やがて水疱の中で新しい皮膚が張ってくれます。薬局や病院売店などで購入できる非滅菌のフィルム製剤は、こういった水疱の保護以外に、靴擦れ予防などにも使えて便利です。
なお、上記のような熱傷の「深さ」の評価に加え、一般的な熱傷の評価に欠かせないのが「広さ/面積」の評価です。患者の手のひら一枚を体全体の面積の約1%と概算して、簡便に評価することが多いです。一概には言えませんが、深達性Ⅱ度熱傷~Ⅲ度熱傷が10%以上の面積に及ぶ場合や、気道(空気の通り道)熱傷がある場合は入院での加療を要することが多いです。自身での対応や処置に悩んだ場合は、下山後に皮膚科や形成外科をご受診ください。

相談者 モノボリ さん

親身に回答頂きありがとうございます。
火傷から2日ほど経ちましたが、幸い火傷痕も残らず回復することが出来ました。

頂いたアドバイスをもとに自分の処置方法を見直したのですが、火傷に対して間違えた認識を持っていたとつくづく感じました。
伊藤先生が仰るように冷やす時間も短かったせいか、1日ジリジリ痛みを感じましたし。
アドバイスを見る前は、水泡を破ることが回復の早道だと勘違いしていました。
また、軟膏の使い方も誤っていたと気付けました。

次回同様の火傷をした時には冷静に対処出来そうです。
火傷しないように自身も気をつけ、もしも登山仲間が火傷をした時には落ち着いて処置できるようにします。

重ねての御礼になりますが、ありがとうございました。

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