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山岳ガイドへの相談

解決済み

縦走中、翌日に疲労を残さない方法

相談者 Ryuichi Masuda さん

この夏、山小屋3泊で初めて北アルプスに登ります。
高山病予防を考えて初日は登る前に登山口あたりでゆっくり体を慣らす時間をとったり、登ってからも無理をしない行程を心積もりしておくなど、いろいろと事前に考えてはいるのですが、登ってからのことでご相談です。
4日間の行程をスムーズに乗り切るために、山小屋などでやっておいた方がいいことはありますか?「翌日に疲労を残さない」、「翌日の筋肉痛を少しでも和らげる」といったことが大切になってくると思っています。知っておくべきことや、やった方がいい方法や知恵がありましたらご教授ください。よろしくお願いいたします。(盆休みを利用して行くので、この時期の北アルプスの山小屋がどこまで混むのか、そっちも初体験で心配ですが)

疲労回復のために山小屋でやっておいた方がいいことですね。


まず第一に、山小屋到着後なるべく早い段階でストレッチをしましょう。
体が暖まっている状態て血流がいい状態で行うのがベストですので、山小屋に入る前に荷物を置いて、使った筋肉を伸ばします。
登山前のストレッチより、登山後のストレッチの方が、疲労回復に差が出ます。
靴を履いたままでは伸ばしにくい部位や、筋肉の張りや凝りが気になるところは、山小屋に入ってから床に座ってじっくりストレッチするのがいいでしょう。


次に、夏山は自分自身が思っている以上に水分が不足しています。
「喉が渇く前に小まめに補給」と言いますが、汗を多くかく時期は運動後の早い段階で水分補給を行いましょう。
スポーツドリンクが理想的ですが、運動中に飲んでいたものとは別のものが飲みたくなるものです。
山小屋でジュースや炭酸飲料などを買って飲むのもいいかもしれません。
もちろん、暖かい飲み物でもOKです。

さらに、体が冷えてくる前に着替えたり、衣服調整をしましょう。
インナーが濡れている場合は着替えたり、汗を拭いたりします。
そして、夕方が近づいてくると気温が下がってくるので、その前に暖かい服装になります。
体が冷えると血管が収縮して、血流が悪くなってしまいます。


3つ目、ここが一番重要です。
疲労ってどうやって抜けていくと思いますか?
答えはズバリ、トイレです。
疲労物質は尿に交じって排出されますから、個人的には「寝る前までにどれだけ排出できるか」が勝負だと思っています。
私の場合は、インスタントコーヒーを常備していて、山小屋到着してなるべく早い段階でコーヒーを飲みます。
カフェインの利尿効果は、運動中は脱水を招く可能性がありますが、運動後の疲労を抜くには効果的です。
コーヒーが苦手な方は、お茶でもいいですし、エナジードリンクでもいいと思います。
また、カフェインが入っていなくてもとにかく体内の水分を入れ替えることが重要だと思って下さい。

お酒も適量ならOKですが、摂取した量以上に利尿により失われる水分の方が多くなってしまう可能性があるので、就寝ぎりぎりまでお酒を飲まないようにして、就寝前は水分を多めにとるように注意してください。


最後に質のいい睡眠をとれるようにすることです。
混雑する山小屋では耳栓やアイマスクなどが活躍します。
また、標高の高い場所では睡眠時に呼吸が浅くなることで、酸素が欠乏して眠りが浅くなりやすいです。
適度な高さの枕を用意したり、鼻腔拡張テープを使うと睡眠時に呼吸がしやすくなって、眠りやすくなります。


(1)ストレッチで疲労物質が筋肉に留まることを防ぐ
(2)水分補給と衣服調整で血液循環を良くし、疲労物質が排出されやすい環境を作る
(3)疲労物質を尿として対外に排出する。
(4)リラックス出来て、呼吸しやすい環境で眠る

1-4まで時系列でお伝えしました。
3のコーヒーまでを夕食前までに行っておくのがポイントです。

夏の北アルプス、是非楽しんできてください!

解決 相談者 Ryuichi Masuda さん

野中さま
最後の箇条書きのまとめまでわかりやすく整理され、かつ「なぜ、そうした方がいいのか」その理由までとても論理的なアンサー、ありがとうございました!

単独行なので、「気持ちもキチンと備えて登りたい」と思っていましたが、なかなか知りたい良い情報に出会えず、困っていました。
特にトイレのお話はびっくりです。

教えていただいたことを守って、とことん安全に北アルプス登山を楽しんできたいと思います。

ほんとうにありがとうございました!




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